日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在98日目:脳の煮え立ちそうな日③「mahirap ang test ng Filipino」

 フィリピノ語の授業については別項目で記事を載せると再三言いながらも、やっぱりそうもいかないような気がうすうすし始めていますので、断片的に書いてしまいます。

 「コソア」が終わったところで1時間半昼ご飯を食べる間をとって、その後にすぐテストとなりました。なんと慌ただしい。

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  2度目のテストですが、1度目はそんなに難しくありませんでした。前回の範囲は挨拶や自己紹介から「Kanino(whose)」くらいのものだったためですが、今度はそうもゆきません。範囲に含まれたのは数字や日付、それから形容詞が50個ばかりです。

 数字というと、まず覚えなくてはいけないのは「isa, dalawa, tatlo…」で、次いで「una, dos, tres…」も頭に入れる必要があります。ふつうに数を数える時には前者の体系を用いますが、時間などの限られた場合においては後者のスペイン語が使われているのです。ダブルスタンダードに音をあげそうになってよく考えてみますと、日本語も「ひ、ふ、み…」「いち、に、さん」と、和語漢語の2種がありますから悪口は言えませんね。

 日付について曲者だったのは月と曜日との名前でした。月名は英語と通じる部分が大きく、曜日に関しても星の名前がもとになっています*1ので、語としては割合容易に覚えられました(スペルはまた別の問題あり)。

 このあたりの問題は「今日が木曜として、明日は何曜日?」とか「(デジタル時計)これは何時?」とか、その程度の出題なのでおおむね大丈夫だったと思います。

 

 で、形容詞ですが、テキストに載っていた表はこんな感じ。

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フィリピノ語における形容詞の特徴として、”ma-“で始まるものがとても多いです。”masarap””masaya””mahirap””maganda”などがあり、逆に言えば”ma-”がつけば形容詞という判断もできるわけです。”ma-”に続く部分は語幹(ルート)とみなされ、たとえば”maganda(beautiful)”の”ganda”は名詞”beauty”を意味します。従って”ma-”形容詞を覚えておけば、同時に名詞の語彙量も増やすことができることになるでしょう。

 という御託を並べても、結局基本的な語については単純に記憶するしかありませんので、かなり苦戦を強いられました。

 受けてみますと、問題は案外幅を認める形式になっていまして、例えば”____ ang kape(Coffee is ____).”という空欄に形容詞を入れなさいというものがありました。この場合は味とか質(高い・安い)あたりが許容され、”tahimik(大人しい)””masipag(働き者)”なんていうのは不適というわけです。実際に言語を運用するときには自分であてはめなくてはいけないわけですから、これはよい出題方法なのではないかと思いました。自分の限られた語彙の中で、どうにか文章を作ろうとする訓練というのも必要ということですね。

 

 テスト勉強は苦しいですが、受けること自体は嫌いじゃありません。それは平常の授業がつぶれるから、みたいな俗っぽい理由ではなくて、テストを解いている最中に自分の知識が整理されていくことを自覚できるからです。こういう語学の試験では、自分が見逃していた点に気づいたり、バラバラの知識を統合しなくては解かなくてはいけなかったりしますし、例えば大学の持ち込み可の試験では、手持ちの資料を最大限生かした説明を構築して理解を深めることができます。

 逆に言いますと、こうした知的快楽をもたらさない形式・内容のテストでは、受ける側としても学問の意義を見出せなくなってしまうのではないでしょうか。

 

 と、あわただしい一日は終わり、家に帰った僕は早く寝るのかと思いきや、存分に羽を伸ばして夜更かししてしまうのでした。

*1:月曜はLunes、火曜はMiyerkulesと、案外連想が容易です。