滞在102日目:意義を見つめなおす
中間研修2日目です。この日は夕方までやって全日程終了ですので、マニラ首都圏に住んでいるメンバーは終わり次第自宅に戻らなくてはいけません。もちろん地方から来た人たちはもう一泊するわけですが、僕としてはもっとみんなと話したいこともあったなぁと頗る残念でありました。
今日はそれぞれの学校の先生もいらして、交流を深めたりアイディアを交換したりという会でした。
まずはアイスブレイク。パートナーズから2案だされ、みんなで楽しみます。
ひとつめは「PPAP(Pen Pineapple Apple Pen)」です。日本でどれだけ浸透したのかはよくわかりませんし、ブームを保持しているのかどうかも怪しいところですが、こちらではかなりおなじみとなったようです*1。踊りはシンプルなようで、やっぱりシルエットとかを追求しようとすると苦労しそうな印象を受けました。
いまひとつは「じゃんけん列車」です。小学校のレクリエーションなんかでもよく使われますね。じゃんけんというわかりやすさと、相手の方に手を置くという距離の詰め方とが、仲良くなるのに効果的なのだと勝手に思っています。音楽に合わせて、と言われてもあまりピンときませんでしたが、"Ten Little Indians"のメロディにのせた歌詞は聞いてみると懐かしさを感じましたのでたぶん幼少期に聞いていたのでしょう。ふだんはじゃんけんが恐ろしく弱い*2のですけれど、なぜか今回に限って全勝。柄にもなく列車の先頭を飾る羽目になってしまいました。
次は「ジョハリの窓」をやりました。心理学とか教育学を学んだ人にとっては馴染み深いタームではないでしょうか。ある一定の個人の性質には「開放」「盲点」「秘密」「未知」の4種があるという話です。で、今回はそれを利用して、パートナーズと現地の先生とがどれだけお互いのことをわかっているかというゲーム(?)をしました。
「もちあじ*3リスト」には15ばかり語が用意されていて、その中から自分の性質、相方の性質を選ぶわけですが、結果として僕は「開放」が多くなりました。これは何を意味するかというと、僕がふだん自分を表に出して生活している、というのですが、果たしてどうでしょうか……。ちなみに開放されていた性質は「聞き上手」「我慢強い」です。
その後でケーススタディめいたことということで、提示される「問題」についてどういった解決法が考えられるか、というのをパートナーズと先生とがグループになって取り組みました。
「イベント続きで授業ができないときはどうするか」「文化紹介のネタはあるのに授業がみっちりの場合はどうするか」などなど、まあ似たような出題ではありましたが、アイディアは三者三様といった感じ。若干理想をなぞりすぎるきらいはありましたし、学校ごとの事情で可能性の幅も違うわけですが、ここで得られた発想を自分の場合にどう置き換えるかというところに意義が認められると思います。
お昼はお弁当を頂きました。「から揚げと鮭とがあります」と言われ、僕を含む多くのパートナーズがから揚げに飛びつきました。あまり日本食に恋しさを感じることはないのですが、から揚げは無性に食べたくなることがあります。野菜炒め用と思しき醤油が、お魚の容器でなくビニールに入っているのに、何か心寂しさを感じました。
で、午後はパートナーズと先生方が分断され、それぞれに思うところを語ります。部屋は薄い壁で隔てられていましたが、先生方の部屋からは楽し気な笑い声が漏れてきます。一方日本人の部屋は静まり返って、いかにも深刻そうに話し合うのでした。国民性というかなんというか、タイ語ではไม่เป็นไร(マイペンライ)といったりしますが、この国ではあまり気にしないほうがよいことも多いようです。
僕は、予てから自分の活動量に不満を持っていました。前任者が、ということもありますが、フィリピンに限らず周りのパートナーズはもっと色々なことをしているという印象があったからです。ただ今回の研修を通じて、パートナーズに求められていることはそう多くないのだと安心しました。もちろんできることをするのに越したことはありませんが、一番の使命は「フィリピン人の中で日本人として生活する」ことなのでしょう。確かによく考えてみれば、メディアなどで顕然としている活動は主だった活動を取り立てているわけで、毎日そうやって過ごしているわけではありませんからね。また学校としても授業があるわけですから、僕らがやりたいと言ったところですべてをやるべきでないこともままあるのです。
他の方のアイディアを見る中で、豊富な刺激を得られましたが、ここからの半年はもう少し気楽に過ごせるような気がしています。もっとも、より明るく振る舞うべきというのは大きな問題となりそうですが。
僕は夕方すぐに家へ戻りましたが、地方の組は今日の一泊に加え、もう一泊してから帰ることとなりました。台風が近づいているため、飛行機の多くが欠航となったのです。もう1日わいわいできることもそうですし、ホテルの朝食をまた食べられるということがうらやましくて仕方ありませんでした。
家に戻ると、警備員が「どこに行っていたの」と話しかけてくれました。気にかけてくれる方がいるだけで嬉しいものですね。