日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在79日目:あるバタついた1日③「避難訓練とスペイン語」

 午後イチの授業は日本語の授業とは言いながらも「日本事情」がテーマとなっています。現代日本の諸問題について、実際の新聞記事やエッセイなどを読む中で学ぼうというのですから驚くレベルです。

 ふだんは毎週木曜日に学生の発表が催されますが、この日は「避難訓練」ということでしたので、みんなで大人しく読解をすることになりました。

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 この日のテーマはフィリピンの教育制度。もちろん記事は日本語で書かれたもので「マニラ新聞」*1というものを使います。

 フィリピンはもともと大学までの教育は10年しかなかったのですが、それが近年教育の向上を目指そうと、従来のハイスクールと大学との間に2年間の「シニア・ハイスクール」を儲けました。しかし、学費負担が単純に2年増えることや設備人員の準備が追いつかないなどの問題から、シニア・ハイスクールへの進学者はかなり少ないそうです。このままいくと却って、大学に進学する門戸を狭めてしまうのではないかという懸念が広がっているということみたいです。

 個人的な意見としては、日本みたいに猫も杓子もレベルの如何を問わず大学に入る、というのには反対です。誰もが大学を出る必要があるとは到底思えませんし、私見では卒業する学生の多くはろくに学びもせず、「モラトリアム」を満喫するだけで社会へ出て行くように思います。とはいえ、学ぶ意志がある学生を振るい落とすことは控えるべきだと思います。設備の整った大学だけが残り、就職に学歴が求められない社会というのが学びやすい環境かと思います。

 日本の話はさておき、フィリピンでは勉強したいのに進学できない、という状況が広まりそうな気配が漂っているわけです。

 

 で、避難訓練ですが、面白いことに事前にこの授業中に「地震が起こる」ことが告知されていました。本当はexactな時間は先生だけが知っているはずだったのですが、うっかり口を滑らせてしまったので「そろそろ何かが起きる」時間に授業が切り上げられました。

 フィリピンのことなのでどうせ遅れるのだろうと思っていましたら、時間通りにサイレンが響きました。しばらく机の下にもぐって、落ち着いたところで頭を押さえながら駐車場へ避難します。日本では荷物を持たないのがふつうですが、訓練後に授業は継続されないので、荷物をまとめてからの避難です。

 駐車場に集まったら、即座にクラスの人数を数えるのですが、その数を報告する「校長先生」的ポジションは指定されておらず、どうやらクラス単位で確認だけすればよいとのこと。ちゃんとしているのかいい加減なのかよくわかりません。

 そのまま訓練終了の支持を待て、とのことなので炎天下でじっと30分待っていますと前で誰かがメガホンで話し始めました。タガログ語なのでよくわかりませんでしたが、他の避難場所の案内や避難経路を改めて説明したのち、「今回は集合が遅かったので、また今度訓練を実施します」とのお説教がありました。しかし、あの30分の間はなんだったのでしょうか。教室をひとつひとつ確認していたのなら、それでいいのですが。

 

 ここまでくると相当くたびれていましたが、最後はフィリピノ語のクラスがありました。毎週2回の授業で、前回のトピックは数字。どうにか一通りの数え方は覚え、レストランでの注文にはおそらく支障ないくらいになったと思います。

 と、安心しきっていたのですが、今日のトピックも再び数字でした。数字は数字でも、なんと今回はスペイン語でのカウントです。フィリピンでは、ものや人を数える時には「isa, dalawa, tatlo, apat…」と数えますが、時間については「una, dos, tres, kwatro…」とスペイン語を用いるのです。なんとややこしい!

 あとから先生方に聞いたら、現代では時間をいうときには英語を使うのが主流とのことでした。まして「Kinse minutos bago mag-alas onse n.t.(11時15分前)」みたいなややこしい言い方はしないとか。使わないとは知りつつも、テストにはでるのですから勉強しなければいけません。(とはいいつつ、モチベーションの維持がどうにもならないのですが)

 フィリピノ語については、別に記事をまとめられたらと画策しています。

 

 という感じで、稀に見る慌ただしい一日は終わりました。あまりに疲れていたので7時くらいに寝落ちしてしまい、2時に絶望と共に目覚め、5時に再び寝て翌朝は6時に起きる羽目になりましたが、さすがにちょっと詰めすぎましたかね。

 とはいえ楽しい一日でした。何もしない日よりも、このほうがどれだけよいかわかりません。

*1:けっこう現地の情報をつかむのには重宝しますので、Twitterでフォローするとよいかもしれません。うわさによると誤った情報もままあるそうですが……。