日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

杉原洋紀・堀口美奈『最初のペンギン ストーリーでわかる! らくらく外国語習得術』

 このところ、いままでにないほど集中して読書に励むことができています。といって、趣味で集めた近代文学の本は読めず、日本語パートナーズがらみの本が中心となっているので、読書家は名乗れませんね。

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 キュートな表紙は、あのSuicaのキャラクターでおなじみ坂崎千春さん。ご存知の方も多いでしょうが「最初のペンギン」とは、氷下に潜む敵に恐れをなさず、群れの先陣を切って飛び込むことのできる人材のこと。ようするに新たな分野に果敢に挑戦していくことを表しています。

 あんまりカッチリした本ではなく、前に紹介した本のようにモチベーションを高めるようなものです。中身はストーリー仕立てになっていて、主人公の美紀がマルチリンガルのエリックと知り合い、外国語を勉強していくさまを描いています。

 

  刊行当初から読みたいと思いながら読めずにいたのですが、あっという間に読める本でした。そのぶん学術的(専門的)な知見は多くありませんが、励みとなることは間違いないです。

 殊、冒頭部分で示される外国語を学ぶきっかけの部分はおもしろい。インドネシア料理屋で、エリックがインドネシア語を使って注文をするのですが、曰く10時間しか勉強はしていないとのこと。考えてみれば、10時間もそれなりの形で勉強をすれば、どうにかそのくらいの語学力は身につくかもしれません。

 そう考えれば、語学の能力は対数的に成長すると言ってもよいかもしれませんね。ただここで気を付けなくてはいけないのは、どの程度まで習得するか、どんな場面を想定して勉強するかによって学習法が変わってくるという点だと思います。極端な話、ちょっと海外を観光する程度なら会話例を覚えれば済みますが、より「ペラペラ」を目指すのであれば文法の蓄積も必要でしょう。

 後半にまとめられている習得法みたいなものも、単純なれど参考になります。ともかくネイティブとがんがん話してみる方針のようですが、Skypeなどの先進ツールを使った方法も紹介されています。

 巻末には習得のステップを例文と共に示した表が添付されていて、これも「使える」ツールですね。

 

 ペラペラになるのは簡単ではありませんし、10時間とはいってもきちんと時間を確保するのも容易ではないと思います。ただやっぱりこうした成功譚を聞くのも面白いもので、習得法も三者三様なのがよくわかります。