日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

思い出す事など②

 大晦日から元旦に向けて、僕と数名のパートナーズは、マニラ首都圏の高校で日本語を教えている先生のお宅にお邪魔し、フィリピンの年越しを体験させていただきました。

 その先生は大変気さくで且つ恐ろしくテンションの高いおばさまで、普段から仲良くさせてもらっていましたから、こちらとしても気兼ねなくお世話になったわけです。

 先生からはお料理をご提供いただいていましたが、せっかくだから日本的な年越しを体験していただこうということで、冷たい蕎麦を用意しました。言うまでもありませんが僕は調理が一切できませんので、実際に準備したのは僕を除いたお姉さま方です。

 こういうときマニラは便利だと思う次第ですが、蕎麦もそばつゆも、容易とまでは言えないまでも手に入れることができたのは幸いでした。

 

 で、聞けば先生は蕎麦じたい食べたことがないとのこと。ラーメン屋(ラーメンは日本食として認知されている)はそこかしこにありますが、確かにフィリピンにおいて、蕎麦を食べられる施設・機会はともに皆無と言っていいでしょう。

 初めての経験とあればこの1回の価値も必然的に上がるわけですから、評判を楽しみにしていたところ、メンバーからちょっとした不安の声が上がりました。すなわち、蕎麦アレルギーの懸念です。卵とか鶏肉とかであれば、フィリピンでも普通に食べられていますので経験上アレルギーを持っているかどうかはわかりましょうが、先述の通り未知の食材「蕎麦」についてアレルギーがあるかなんて誰も知らないわけです。万一アレルギーが発症してしまったら僕らの手には負えない事態も起こりかねないので、勧める手が一瞬止まってしまいました。

 

 ところが先生、その旨を聞くや、

「ともかく試してみるわ」

とツルツル一息に飲み込んでしまいました。

 固唾をのんで見守る一行でしたが、味の感想は「おいしい!」とのことだったので、ひとまず企画としては成功です。

 問題はここから。アレルギーは瞬時に発症するわけではありませんから、10分やそこらは「予断を許さない」状況です。それも一応先生に伝えておいたところ、

「そうね。死ぬかもしれないというのなら、その前にもうちょっとだけ食べておくわ」

と言ってさらに箸を進めるのでした。

 

 ここに書いている以上、僕らの心配は杞憂だったわけですけれども、アレルギーの問題は考えたこともありませんでした。食に関してはとりわけ関心の深いフィリピン人ですから、僕らが提供するものなら多少Strangeなものでも進んで口に入れてしまうように思います。考えたらきりはありませんが、そうした危険もなくはない、と心に留めておかなくてはなりませんね。