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日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間派遣予定。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在240日目:明かりをつけましょ

 毎週の文化紹介というのはもちろん経験としてありがたいことで、場数を踏まないことには気づきえないあれこれを学ぶことができています。幸か不幸か、求められるのはたいてい季節行事とか時候にあったものですので、よく言えば悩まずに済み、悪く言えば自分の得手不得手と関係なくやらなくてはなりません。

 で、この3月2日はやはり「ひなまつり」をテーマにした発表を行いました。


~うれしい ひなまつり~ 山野さと子・森の木児童合唱団

 

 準備段階でここまで苦労したのは初めてかもしれません。なにしろ僕は男兄弟しかいませんので、早い話がひなまつりを経験したことがないのです。記憶では幼稚園なんかで飾り付けを手伝ったような気がしますが、それにしたっておぼろげな記憶です。そんな中でも「日本人として」知っている風に発表しなくてはなりません*1ので骨が折れました。

 

 まずは「桃の節句」という別名について説明をし、ついでに他の節句についても軽く触れておきました。細かいのもあげつらえば他にもあるのでしょうが、ここで紹介したのは「七草」「桃」「端午」「七夕」「菊」です。どうでしょう。このうち未だ行事として成り立っているのは、ひなまつりとこどもの日、それから七夕くらいですかね。七草はともかく、菊の節句に至っては何をするのかあまり知りません。

 そのあとは人形の様子、その配置なんかを説明していきます。例によってアニメを使おうとした結果、今回は『名探偵コナン』より「夕日に染まった雛人形」というエピソードを引っ張ってきました。エピソードとしてはそこまで深刻なものでもなく、いわゆる「日常の謎*2」を扱った作品ですが、その中にコナンくんが雛人形の歴史を語るシーンがあるのです。ただ、今回のこれは選定を間違えた感が非常に強かったです。これまでに使ったものは世に言う「日常系アニメ」が多く、文化紹介的シーンを切り抜いてもそれなりに面白いものでしたが、今回の場合、話のメイン(というか”おいしい”ところ)は推理劇にあるわけですから、コナンくんの説教パート自体は大して面白くないのです。それから今回のものは特に字幕が小さくて見づらかったため、盛り上がりを期待して使ったにもかかわらず効果としては今一つとなってしまいました。

 ところで、僕はちゃんと雛人形を見た経験がないのですけど、女の子のいるお宅ではあんなに巨大なものを持っているのでしょうか。由緒あるご家庭ならともかく、アパート暮らしとかだと置く場所もないでしょうし、それでも男雛と女雛くらいは置いているところが多いのでしょうか。

 

 ひなまつりといったときに、祭りとして何をするかよくわからないのですが、ともかくも色々と特有の食べ物があるのは確かです。これもいちおう紹介しておきました。

 菱餅の3色というと桃色と白と緑なわけですが、あれにもちゃんと意味があって、上から「桃の花」「残雪」「新芽」という具合に、春の訪れがよく表現されているのですね。ひなあられの色彩も、おそらく同様の理由なのでしょう。

 それからちらし寿司もよく食べられますが、あれに混ぜ込まれている食材の由来は、おせちのそれと同様らしかったです。たとえばレンコンなら「先が見通せる」、エビなら「腰が曲がるまでの長寿」というようなところです。

 ここでちょっとした試食なんてできたら会としてのまとまりも維持できたのですが、時間と設備、それから技術の未熟とがそれを許さないのでした。つくづく無能です。

 

 最後に、「ひなまつりの歌」を聴かせて終わりましたが、とかくひどい発表になってしまいました。シラケきるとはまさにこういうことです。知らないことに挑戦する無謀自体もよくありませんが、調査やプレゼンテーションの方法もこれまでにないほど劣悪なものとなってしまいました。やっぱりまだまだ未熟だと痛感する次第です。

 

 

黒いハンカチ (創元推理文庫)

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空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

 
氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

 

*1:これは本来、「日本語パートナーズ」の意義からは外れてしまうやり方だと思います。本派遣で求められるのは、どちらかというと「できること/得意なこと」ですし、無理に調べて発表するのならフィリピン人でも可能な仕事でしょう。とはいいながらも求められるぶんにはやったほうがいいのですけどね。

*2:殺人事件をはじめとする大きな事件ではなく、ふだんの生活に潜むちょっとした疑問を扱ったミステリーの呼称です。僕の読んだ範囲で一番古いのは小沼丹『黒いハンカチ』です。もう少し時代が下って、北村薫の『空飛ぶ馬』に始まる「円紫さんと私シリーズ」がこのジャンルを確固たるものにしたようです。最近では米澤穂信の「古典部シリーズ(『氷菓』など)」も有名ですね。