滞在210日目:挑戦的新学期③「流行語大賞候補語について」
発音記号に悩まされた後は、ちょっとしたレポートがありました。日本事情を学ぶクラスでの発表でして、お題は「流行語大賞」。前にも書いたと思いますが、ひとり2語を担当してそれについて調べてくるというものです。幸か不幸か僕にも配当がありまして、やることになったのは「EU離脱」と「歩きスマホ」でした。
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イギリスのEU離脱については、正直言って政治経済に明るいほうではありませんので、あまり詳しいところまでは理解が及びませんでしたが、それならばと全編「やさしい日本語」でどうにか説明することにしました。
ざっくりとした流れは以下の通り。
①EUに入っていると難民を受け入れる必要がある。
②イギリスは社会保障も良いので難民がたくさん来てしまう。
③国民投票の結果、僅差で離脱が決定。
④EU(ユーロ)とイギリス(ポンド)の信用が落ちる。
⑤ユーロとポンドの価格が下落。
⑥イギリスにある日本企業にとっては打撃。
もちろん以上の流れは単純化しすぎていますし、問題の一側面を語ったにすぎませんが、学生たちに理解可能な日本語でとなるとこのくらいがちょうどよいと思います。逆に言うと、僕の仕事としてはできるだけ日本語を多く話すことですので、ことこうした中上級のクラスでは英語を使わない工夫をする必要があるのです。もちろん、「難民」とか「社会保障」といった、知らないけど覚えておいた方がいい言葉は英語で相当語を言ってしまいますが。
で、もうひとつのテーマが歩きスマホです。この言葉自体はけっこう前からありますが、2016年に選ばれたのはもちろん「ポケモンGO」の影響でしょう。
まあわかりやすい言葉ですし説明も比較的簡単なのですが、淡々とやっても面白くないので、以下の動画をそのまま引っ張って発表に使いました。
www.youtube.com Docomoによる歩きスマホの注意喚起のCMです。どうして参勤交代なのかというのはさておき、いかにも日本という感じがするのと面白みがあるのとで、海外での発表には便利な動画ではないかと思います。
使いやすさがちょっと落ちますので今回は取り上げませんでしたが、以下の動画も興味深いですので参考までに。
それから関連して、運転中のポケモンGO操作で死亡事故が発生したこと、古くからある小学校ではおなじみの「二宮金次郎」像にクレームがついたこと*1を紹介しました。まあ話題としては逸れていますが、これも日本事情としてはいいかなと。
そういうわけで「歩きスマホ」は日本で頻繁に見かけるものですが、ディスカッションによればフィリピンではまずないとのこと。ひとつには交通が日本に比べてしっちゃかめっちゃかだということもありますが、やはり一番あり得るのはスマホを盗まれることみたいですね。下手をすると(いや、しなくても)電車やジプニーの車内でふんだくりがあるという話ですから、視界を20%失ったうえまざまざとスマホを見せつけて歩こうものなら、何をされても文句は言えないでしょう。ちなみにパートナーズの前任者にも、ジプニー待ちをしているときにケータイ(現地用のガラケー)をとられそうになった方があるということです。
発表のために準備する段階で多くを学べるというのも楽しいですが、それをもとにディスカッションをして初めて気付くことも多いわけです。そういう意味では、批判が多い「流行語大賞」も、教材としてはなかなか優れていると言ってもよさそうですね。
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