日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在203日目:カガヤンひとり旅⑤「タクシー珍道中」

 帰りは朝11時のフライトでした。それなりの時間におき、CDOパートナーの指示に従ってタクシーに乗ります。

 活動という活動はないのですが、帰り道でちょっとしたアクシデントがありましたので書き留めておきます。

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 まず、朝乗ったタクシーはバスの発射場を行き先として指示していました。1時間ちょっとの道のりは、バスを利用したほうが当然安いという理由からなのですが、乗った後で運転手から「空港行のバス? それなら直接空港まで連れて行くよ」と言われてしまいました。こういう時、適当な嘘をつけば何にも問題ないのに、どうも機転の利かない僕は、帰り道が面倒だったのもあって空港まで行くことを承諾してしまいました。確かに運転手の言うことも一理あって、そんなセコセコした経路を使うよりも、タクシー一本で行く方が楽に決まっています。それでもまあメーターですし、タクシーとしては許容できる金額だったので仕方ないかなというラインです。

 ただ、パートナーにわざわざタクシーを捕まえてもらって、行き先指示までいただいたのに、かなり申し訳ない気持ちです。

 

 さて、緊張の飛行機ですが、小さい飛行場ゆえと登場チケット云々には緊張しました。僕の中に、田舎だと何が起こってもおかしくないという潜在的な偏見があるみたいですが、ようはチケットとIDさえあればどうにかなるわけで、時間が大きく遅れたのと突然搭乗口が変わったのとを除けばつつがなく帰ることができました。

 いえ、もちろん飛んでいる間は気が休まりませんでしたし、着陸に際しては気流の乱れがやたらとひどくて酔いましたが、まあ体調としてはそこまで悪くない程度です。恒例のクイズもようやく勝手が掴めてきましたけど、一瞬のためらいで商品をもらい損ねてしまったのは残念でした。まあまた機会もあるでしょう。

 

 マニラの空港を出ますと、タクシーを拾う形になります。流しのでもいいのですが、メーターだと不確定要素が多いため、UberやGrabといったアプリを使うのが奨励されています。前回セブから帰るときも、空港を出たところで先生がタクシーを呼んで乗り込んでいましたので、それに倣おうとゲートから出ました。

 ところがここで誤算だったのは、空港のFree wifiが外に出ると一気につながらなくなってしまったということです。Wifiにつなげなければアプリを起動できないため、当然配車依頼をすることができません。さらに悪いことには、屋外でいつも使っているポケットwifiの接続まで確立できませんでした。

 という感じでしばらくwifiをつけたり消したり試行錯誤していたところ、ひとりのおじさんが「タクシーですか?」と話しかけてきました。観光ガイドなんかでは避けるべきとされている、空港におけるタクシーの客引きです。何が危ないかというと、まあそもそも外国人ということでカモにされやすく、最悪のケースでは暗がりに連れ込まれて強盗の被害にあう可能性も十分にあります。

 後から考えればけっこう危ないのですが、この日は移動と旅行直後で疲れていたため、その誘いに乗ってみることにしてしまいました。あるいは、めったにない機会だからこういうのも経験しておこうという好奇心も確かにあったわけです。

 

 行き先はUPだというと「ケソン市のことか」と確認されたうえで車に案内されます。それでもてっきりメーターで請求が来るものと思っていましたが、走り出してもどうやら電源自体入っていませんでした。追及しようとしたところで、運転手が何やら料金表を取り出しました。曰く「ケソン市ですと、この通り2000ペソ(5000円)ですね」と。

 ここまで僕は、多少高くなることを覚悟で、まあメーターでなくても払ってやろうかという心づもりでしたが、この値段はいくらなんでも高すぎます。参考までに、自宅から空港に来るときには400ペソ(1000円)くらいのものでした。

 しかし車は走り出していますので、おいそれと降りることも許されません。「ちょっとそれは高すぎますよ」「しかしこのタクシーは安全ですぜ」というやりとりをしばらくした後で、「実は、所持金がもう600ペソしかないんですよ」という奥の手を使いました。正直言って十分な手持ちがなかったのは確かだとはいえ、2000ペソが払えないほどではありませんでしたが、こうでも言わなければタカラレてしまうと珍しく機転を利かせたわけです。

 すると運転手、「じゃあこの近くの―――(地名を言われてもよくわからない)で降ろすから、あとはバスに乗って、それからジプニーに乗ってUPに帰るといいよ」と、空港から15分ばかりの地点に僕を降ろしました。そこまでの運賃として徴収された額は580ペソ、バスその他の交通費を残して残額一杯とられた形ですが、この距離を考えるとボッタクリとしか言いようがありません。とはいえ、危険と分かっていて藪に入ってみた自分の責任ですし、まあ授業料としては妥当かなと思います。いずれにしても、おめおめ2000ペソ取られるよりよっぽどいいです。

 

 で、降ろされた地点ですが、初めの景色はよくわかりませんでした。バスに乗ってどうこうという説明もあまりよくわからず、まして耳に入ってこなかったのですが、どうやら線路らしいものが見えたので行ってみますと、果たして割合よく知っている駅でした。ほっとして電車に乗り込み、最寄駅からジプニーに乗って自宅まで帰ってきました。

 まあ教訓として、安全とわかっている手法を徹底的に追求すべし、というのを学びましたね。これで一度痛い目を見ましたことになりますので、少なくとも僕はフィリピンで同じヘマはせずにすみそうです。みなさまも、こういう無駄な危険を冒すことはなさいませんように……。

 

 とかくCDO滞在が楽しかったので、多少帰り道で瑕があっても、思い出がくすむことはちっともありません。フィリピン再訪の折には、ぜひとも行っておきたい街のひとつとなりましたし、友達もたくさんで大満足のひとり旅でした。

 

 

フィリピンを知るための64章 (エリア・スタディーズ154)

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