滞在200日目:カガヤンひとり旅②「果物を包んでは野菜に舌を喜ばす」
お手伝いすることになった大学のクラスは午後からでしたので、CDOのパートナーズとタイ料理のレストランで昼食をとり、少し準備をしてから授業に臨みました。準備と言いますのは、この日の学生にはふろしきを持っていない人がいる可能性もありましたので、間に合わせのふろしきを切り出していたのです。バンダナさえあれば大抵のことはできるのですが、今回は布地をご用意くださっていたので、ちょっと大きめの「ふろしき」を3-4枚準備できました。
大学とは言いながらも、クラスは大学院生のものでしたのでみなさん大人です。となると多少小難しくても「ためになる」とか「意味を成している」とかいった点が重要となりますので、これまでに使っていたスライドを少々改良しておきました。このテーマ、回数自体はかなりこなしていますので、どこをどう説明するかといった勝手はだいぶ掴めています。あとはその場の空気で適当(appropriate)に振る舞うだけです。
で、始めてみますと、これが案外活発に質問が飛んでくるのでした。
いつもの説明として、「銭湯の脱衣場で自分の包みを他と区別するため、ふろしきの模様として家紋をあしらうことがあった」というくだりがあるのですが、これについて「家紋はどの家族にもあるものなのか」という質問が来ました。その場ではYesと答えましたし、間違いではないと思うのですが、後になって今日の状況を考えてみますとちょっと微妙なところですね。直後に聞かれた「家紋はどんな時に使うのか」という質問につけても、ある程度由緒のある家庭しか使っていないという理解の方が妥当かもわかりません*1。見るとして、紋付の袴か墓石くらいのものでしょうか。
CDOのパートナーの方は家紋をご存知なかった(上記の通り、無理もないことです)のですが、僕の方は自分のものを提示することができました。が、準備不足がここでたたりまして、デザインされた植物の英語名を知らずに説明できませんでした。尤も、言ったところでそれが通じるかどうかは別の問題ですが。
もうひとつの質問は、「実際のところふろしきはどれくらい使われているか」というもの。説明の中で「レジ袋を節約するために再評価されてきている」という言い方をしたのですが、正直言って広く使われているものではありませんよね。「じゃあ田舎の方では使われているとか?」と聞かれましたが、恐らくそういう感じでもないものと思います。伝統は得てして廃れているものではありますが、それを海外で啓蒙しているというのはちょっとした倒錯かもしれませんね。
提示した包み方は相変わらずのものですが、これまでよりも実践を意識しやすいように工夫しました。というのも、タスクのひとつに「まるいもの」を包むのがあったのですが、これまでいい感じのアイテムを用意できずにいたのです。今回、何かいいものはないかと午前中にスーパーを歩いていましたら、ダバオ特産のポメロを発見しました。
要するにグレープフルーツみたいなものですが、けっこう実が大きく、包むにはもってこいのサイズでした。さらに言うと、こうした名産品(正確にはCDOのではないかもしれませんが)を包んで見せることによって、実際にどう使うかという場面が想像しやすいのではないかと思い購入しました。
そのポメロがよかったのかどうかはわかりませんが、実際に日常でどのように使うことができるかを意識してもらえたようではありました。このあたりはしかし、大人だから想像しやすかったところもあるだろうなぁとは思います。
とかく楽しんでもらえたらしかったのと、自分の説明がどうやら確実なものになってきたことに安堵を覚えました。「人前で話すこと」あるいは「英語で話すこと」といったジェネラルな能力は、まださして高いでもありませんけどね。
本来は2クラス行う予定でしたが、いろいろあって今日はこの1クラスだけとなりました。まあフィリピンではよくあることですので気にしてはいません。しかしもう少しパーッと派手なテーマの方がよかったろうに、と僕としては残念に思っています。
夜は夜で、おいしいレストランへ連れて行っていただきました。
Wahooという白身の魚です。
すごく個人的な話をしますと、大学時代に白身のフライを食べて骨がのどに刺さって*2以来、魚を食べるのにはかなり抵抗があります。どちらかと言えば肉の方が好きというのもあって、普段ならまず魚料理を注文することはありません。が、おすすめされて頼んだこれはかなりおいしかったです。まず骨がなく食べやすいですし、味も僕の好みでしたのであっという間に平らげてしまいました。付け合わせの野菜も嬉しく、満腹になりました。
といいますか、「田舎だと野菜がおいしい」みたいな質の差が、日本のそれよりも開いているように感じます。輸送における技術とか気の配り方とか、いろいろ要因はあるのでしょうけどね。
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