滞在129日目:怠けた脚を酷使する①「初の高校訪問」
考えてみますと、こちらに来てからの仕事はほとんど座ったまますることが多かったようです。言語学科にいるときはもちろんデスクワークですし、授業の見学をしている時だって立ちっぱなしというわけではありません。これまであまり意識してきませんでしたけど、それによって脚の持久力がかなり落ちているみたいでした。
その弱った脚に久々の立ち仕事を与える1日は、早起きしてタクシーを拾うところから始まりました。
予てからパートナーズが派遣されている他の学校にも遊びに行きたいと思いながら、なかなかタイミングがつかめずにきました。そんなさなか、ちかくにある高校のFoundation Dayで浴衣の体験を催すとの知らせを頂きましたので、豪奢にタクシーで馳せ参じることにしました。
家の前に止まっていたタクシーを拾って、「○○高校に行きたいのですが」と言いましたら「○○という地域はわかるんだけど、高校となると正確な位置はわからないな」と言われました。とりあえず車を出してもらい、グーグルマップで住所を調べます。ところが、設定言語が日本語であるがゆえに、地名の一部がカタカナで表示されていますので、どう発音してよいかわからないという問題が発生しました。今回はかなり親切な運転手でしたので、途中2-3度街の人に道を尋ねてくれ、見事校門の前に降ろしてくれました*1。
パートナーと落ち合って案内された教室は、日本語用の部屋とのことでした。壁には現パートナー及び前任の方の手による装飾が絢爛に施されていました。生徒たちの作品も貼られていて、どうやらハロウィンにまつわる絵を描いてその名前をカタカナで付したものらしいです。「ゴースト」「ゾンビ」「スケルトン」という定番もありますが、「コフィン」「ホワイトレディ*2」という変わり種もあり、「バッ(こうもり)」「ワィテェス(魔女)」あたりは発音とカタカナの対応を面白く見させてもらいました。
生徒はまとまってやってくるわけではなくて、バラバラと何人かのグループが顔を出すような感じでした。さすがに女の子の着付けをするわけにはいきませんしそもそも着せ方がわかりませんので、他のパートナーズ(今日はマニラ首都圏が全員集合)の着付けるさまを写真に収めながら、男の子が来るのをじっと待っていました。やっぱり女の子の方が浴衣への興味は強いようで、男子はそこまで多く来なかった印象です。
今回着せた浴衣は、「びびっどジャパン」という文化紹介グッズセットの中に入っているものを使いました。これはJFが日本語を教えている高校に提供しているもので、けん玉とかうちわ、風呂敷のようなバラエティ豊かな品揃えのセットらしいです。で、僕はてっきりいつも使っている角帯だと思っていたんですが、ただ結び付ければよいというタイプの帯でした(名前はあるのでしょうか)。むろん女の子たちはちゃんと結ぶものですから時間がかかり、一方僕の担当分は瞬時に終わってしまうという状況となりました。
部屋にはクーラーがなく、扇風機も決して十分ではないので暑かったですが、その中でみんな浴衣を満喫していました。フィリピン人は何かにつけて写真を撮りまくりますが、変わったコスチュームに身を包んでいるとあっては、とりわけ気分も高揚するようでした。部屋に大きく貼られた富士山の絵の前で、次々にポーズを決めていきます。ここで初めて気が付きましたが、写真好きな彼らはポージングも豊富に持ち合わせているのですね。同じロケーションでも角度や表情を変えてたくさん撮っていました。
生徒のみならず、この高校にいらっしゃる先生方も浴衣を着にやってきました。そのはしゃぎようは生徒よりも大きく見受けられるほどで、生徒に向かって「私の方が綺麗よ!」なんていうくらいに賑やかな雰囲気が楽しかったです。
お昼休みには先生にパスタをご提供いただき、ありがたい限りでした。
着付けの合間合間に廊下を歩いてみますと、生徒の群がりというか歓声というか、ともかくその「圧」にクラクラしてしまいました。高校とはいっても、年齢的には日本の中学生くらいの生徒が多いですので、幼さはかわいらしいのですが、この圧力には耐えられないなぁと感じました。1日や2日のゲストでならまだ大丈夫ですが、僕自身がそんなに元気を表に出す性分ではありませんので、毎日続いたら彼らのエネルギッシュさについていけず、体調を崩しそうです。
2時前には撤収して、タクシーでマカティのJFMに向かいます。ほぼ立ちっぱなしでしたのですでに満身創痍の感がありましたが、なんとこれからもうひとつイベントに参加するのでした……。