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日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間派遣予定。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在108日目:Trick or Treat

IN THE PHILIPPINES 授業アシスタント フィリピン事情 日本の話

 10月も終わるわけですが、この時期は「日本文化」として紹介できる行事がなく、文化紹介を依頼されても答えに詰まるというのが正直なところです。それならば、と逆に考えて、フィリピンを含む世界各地で楽しまれている行事が、日本ではどのように享受されているかを紹介することにしました。

 で、10月末と言えばやっぱりハロウィンでしょうかね。

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  フィリピンのハロウィンは見たことがありませんでしたが、装飾を見たところ恐ろしく怖いものが多い印象です。上の写真はマカティ(オフィス街)で撮った写真ですが、初見のときは木の真下にいまして、本物のHung manかと驚いてしまいました。

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 こっちはホテルのエレベータホールの鏡に貼られたスティッカー。

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 学内もこんな感じで、お化け屋敷をそのまま持ち出したような怖さを維持しています。日本ではどうかなと考えたら、やっぱりカボチャとか幽霊(西洋的)をデフォルメしたかわいらしいキャラクターで飾り付けをしている感じがします。というか、あまり怖いものを公共の場においたらお得意の苦情が来そうな気もしますね。

 

 さておき、今日はハロウィンと関連付けて妖怪の話などをしました。

 日本のハロウィンのモデルとして提示したのは以下の動画。

www.youtube.com

 噂に名高い渋谷のコスプレパーティです。そもそもの混雑やゴミ問題など、解決すべき課題は山積しているそうですが、まあにぎやかで楽しい会には違いないようです。血に塗れた格好の人もあるにはあるものの、ほとんどは自分の好きなコスプレという感じがします。しかし、なぜそのキャラクターを選んだのかと思わずにはいられないものも見られましたね。

 

 このあいだ「おしゃべりサロン」でやった内容をちょっと拝借して「妖怪」「幽霊」の違いなどを説明、鬼や河童などの有名な妖怪(というかモチーフ)について雑学をたらたら述べます。

 今回発表したのはまずまずレベルの高いクラスでしたので、あえて全編日本語で勝負します。おおよそ既習の文法は頭に入っているため、できるだけその範囲を出ないような「やさしい日本語」を使っていきました。で、そうなると僕としても内容の自由度が挙がります。未熟な英語で伝えてもいいのですが、そうなると喋るのに手いっぱいで言うべきことを忘れてしまうのです*1

 僕は昔から雑学めいたことが大好きで、本分たるべき勉強はそこそこにくだらない知識の収集に努めたものでした。そうした知識の多くは全く利益をもたらしてこなかったわけですが、ここにきて過去の自分に感謝しているところです。といいますのも、それぞれのネタが即座に思いだされなかったとしても、「そういえばこの言葉の由来について聞いたことがあるぞ」という発想は残っていますので、同じプレゼンを作るにしても話題を広げることがより容易になるのです。

 鬼はなぜ角と虎柄のパンツのイメージか、河童の体の特徴、付喪神についてなどなど。日本語のレベルが高いということは「鬼」「河童」などすでに知っている可能性が高かったので、トリビア*2に満ちた内容にできたのはよかったかなぁと思います。

 

 尺としては1時間頂いていましたので、せっかくだから怪談話を聞かせてみることに。いろいろネタはありますが、ベタに「置いてけぼり」にしました。この話にした理由は、まず極めてよく知られた内容であること、それから「のっぺらぼう」というモチーフや「こんな顔かい?」という怪談の定番を含んでおり、文化としては濃密に伝えられるのではないかと思ったためです。

 教材は「まんが日本昔ばなし」を使いました。幼少期の僕にとっては「ぞろりんがったん」と双璧を成す恐ろしいエピソードでしたが、どうやらリメイクされた動画のようでした*3。江戸の方言がきついですので、場面設定だけは簡潔に伝えておき、物語の雰囲気は楽しんでもらえたかなと思います。

 加えて「置いてきぼりにする」という、今でもよく使うフレーズを紹介できましたので、内容としてはよく詰められたかなという感じです。

 

 最後に「最近の妖怪」として『ゲゲゲの鬼太郎』と『妖怪ウォッチ』を紹介しました。

 前者は言わずと知れた水木しげる御大の作品で、今日の「妖怪」に対する日本人の興味は彼による功績と考えてよいでしょう。今回スライドで見せたのはいわゆる2000年代verのアニメで、『鬼太郎』の作風を考えると若干不本意なのですが、貸本時代の絵*4とかを見せてもマニアックが過ぎますし興味を惹きづらいですよね。

 後者はフィリピンでも人気の作品です。「妖怪体操第一」などは、すでに踊れる学生もいるほどです。残念なことに、この作品についてはあまり詳しくありませんので、本当に紹介程度。ジバニャンが「地縛霊*5」であるというような雑学は思いだせたのでまあ良いかなと思います。

 

 終わってからは、フィリピンの妖怪について学生に尋ねたり、僕の友人でN2保有者の学生に日本語で怪談(実経験)を語ってもらったりと、なかなか盛り上がった感じがします。

 発表ベースでも、うまくすれば学生とのインターアクションを作れると実感した次第です。

*1:といいますか、きちんと台本を作って練習しておかないからうまくできないのですけどね。一度公の場でちゃんとした発表をした際に、台本を用意していたのですが、本番で全部飛んでしまったという経験がありまして、それ以来逆に台本なしで発表できるような準備をするようになってしまいました。

*2:日本では「トリビアの泉」で有名になった言葉ですが、フィリピンでは「豆知識」程度の意味で頻繁に使われます。学生のプレゼンなど見ていても「ちなみに」とトリビアが示されることは多いです。

*3:親父がこのアニメの大ファンだったこともあって、幼稚園のころによく見ていました。調べてみると「ぞろりんがったん」は平成元年の放送らしいので、録画を見ていたのかレンタルしていたのかわかりませんが、ともかくかなりの量は見た経験があります。

*4:ごくごく最近ですが、貸本漫画にも興味を惹かれるようになりました。竹内寛行とか陽気幽平とか、読んでみると今でも充分楽しめる(歪んだ楽しみのこともありますが)作品が多いことに気づかされます。もちろん元版を買う経済的な余裕などあるはずはありませんが、この頃は手に入れにくい作品が同人誌で復刻されることが多いのでそれをとっかかりとして楽しんでいます。むろん、系譜などについては極めて無知です。

*5:とっさに出てきた英語が"Earthbound"でした。正確かどうかはともかく、学生には伝わったのでよしとしましょう。なぜこんな言い回しを記憶していたかというと、遊戯王にそんな名前のカードがあったからです。人生何が役に立つかわかりませんね。