日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

滞在93日目:使い回しの歌

 企画は本来弾数を準備しておくべきだったのですが、僕の怠惰な性分からストックが全くありません。従って文化紹介の枠をご提供いただくたび、別のクラスですでにやったネタを流用することになっています。

 今日は先日やった「子どもの歌・秋の歌」*1を2コマ分やりました。とはいえグレードアップはさせましたし、新たな発見もいくつかありました。学生とのやりとりにも慣れてきて、スムーズな運営になってきた手応えがあります。

 

  例によって「ドレミの歌」から始めましたが、今日やったうち1つのクラスではSound Of Musicがあんまりピンと来ていないようでした。新しい反応だったのは「らっぱ」のところで「Yo Yo」とやりだす学生が、両クラスにいたということです。「いや、それは『ラッパー』だよ」とホワイトボードに書いたりしていらぬ知識を増やしていきました。

 「こぶたぬきつねこ」の説明もよりちゃんとさせて、「しりとりでは『ん』がついたら負け」とか、他の動物の鳴き声についても言及する余裕がありました。犬は有名ですが、にわとりとか象なんかの鳴き声はあまり知られていないようです。また、前回の記事に載せました”What Does The Fox Say?”を知っておいたのもよかったです。「きつねはなんと鳴く?」と聞くと多くの学生がこの曲を連想していましたので、追撃する形で歌を口ずさむとクラスが盛り上がるのでした。こちらで何が流行っているかを知るのも、クラスを活気づかせるためには必要なことですね。

 それから「おべんとうばこのうた」では、全くの思い付きで、指を使って数える方法を話題にしてみました。日本では「人差し指→中指→薬指」と順番に指を立てていきますが、フィリピンだと2までは同じですが3は中指・薬指・小指を立てて示されます。さらに分からないのは6を示すときには片手すべてと小指を立てるとのこと(日本だと片手と人差し指が主流ですかね)。数え方は人によっても変わるみたいですが、日本では絶対になされない方法が見られて面白かったです。

 

 前回はアンケートを実施しましたので、今回は少し長めのプレゼンテーションにする必要あがりました。したがって1曲「もみじ」を追加して歌うこととしたのですが、あまりパッとしなかったかもしれません。ただ美麗な曲、というだけでなにを紹介できる曲でもありませんでしたから、次は別の曲を用意するか、この曲の意義を見直す必要がありそうです。音数律について語るのはちょっと厳しいですかね。

 「むしのこえ」については、ようやく「ウマオイの声をフィリピンで聞いた」というのに頷いてもらえました。種類として同じなのかどうかはわかりませんので、こちらで少し文献を漁ってみたりしたいですね*2

 それから「十五夜さんのもちつき」では、新たに満月の画像とそれがうさぎに見えるということを提示しました。補助線を引いてみると案外うさぎに見えるもので、他方ヨーロッパの「カニに見える」という信仰も納得できるのでした。フィリピンではどう考えられているかを聞くのを忘れてしまいましたが、以前先生に聞いたところでは特にないとおっしゃっていた気がします。それから以下の動画を追加しました。

www.youtube.com

英語字幕もありますし、もちつきの精神を伝えたよい動画だと思います。

 

 足りないところを補う過程で、どんどん新しいことを学べるのは実に面白いものです。教師は学び続けなくてはならないとよく言われますが、そんなこと言われなくったって楽しんでいれば自然とこなせるものでしょう。逆に言うと、このプロセスに享楽を感じないようでは、人に教育するということは向いていないのかもしれません。

*1:参照滞在79日目:あるバタついた1日①「きつねはどう鳴くか」

*2:虫についても興味はありますが、もっと調べたいと思っているのは鳥です。蜂須賀正氏の軌跡を見たいというのもありますし、フィリピンワシなど固有の種もけっこうあるようですので、暇があれば本を探したいなぁと思っています。(思いながらすでに3ヶ月経ってしまったので叶わない希望のまま終わりそうです)