日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

動画あれこれ

 フィリピンはネット回線が安定していないわりに、みんなよくYouTubeとかを見ている印象があります。先日の授業で、学生たちが日本の芸人ピコ太郎のネタ「PPAP」のマネをしていたのですが、僕にはなんのことだかさっぱりわからず、オフィスに戻ってからこれがちょっとしたブームになっていることを知りました。学生の方が情報に敏感、というのはどこの国でも同じことのようです。

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  こちらでいろいろなことを教え、それ以上に学んで、という生活を送っていますと、学生たちにいろんな動画をご紹介いただきます。日本語教育とかフィリピンとかについて、動画から学べる部分も大きいので、いくつか記載しておきます。

 

 ひとつめのこれは、日本語の先生にご紹介いただいた動画です。

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 資生堂が作ったものらしいですが、日本人の目から見ても十分に面白いです。メイク云々は正直言って興味ありませんが、47都道府県すべての方言*1を使ったセリフを、まとめて聞く機会はそうそうないように思われます。2年前につくられたものらしく、公式のアップロードは既に削除されていました。

 「沖縄と津軽は字幕が必要」なんていう話を聞いたことがありますが、確かにその2地域の言葉は、東京で話されているものとはかなり大きく違う印象です。関西も違いますが、案外コミュニケーション上の問題はないように感じられました。個人的には方言って残したほうがよいと思うのですが、地方から出てきた友人の多くは標準語に乗り換えてしまったようでした。

 

 次は日本語教育について。

 いわゆる「てform」を勉強しているクラスでのことです。てformは動詞によってコロコロ形が変わりますので、学習者にとっては覚えるのに苦労する単元として有名ですが、そのクラスの先生は以下のように整理していました。

 

うつるって むぶぬんで

くいて ぐいで

すして

くるきて するして

いく いって

 

第一ここまでコンパクトに法則をまとめているのを僕は初めて見たのですが、さらに驚いたのはこれを以下の歌にのせて歌っていたということです。

www.youtube.comhttps://www.youtube.com/watch?v=JtmyNIWutkYwww.youtube.comwww.youtube.com

3つありますが、すべて歌詞は「うつるって~」ですので、都合3回パターンを口ずさんだことになります。どれも子供の歌としてはフィリピンで知らない人はいないくらい有名なものだそうです。こういうのを知っておくことも、現地の人の心をつかむのには大事なことだと思います。

 逆に日本で誰でも知っている歌を教える、というのも面白そうですね。枚挙にいとまがないので却って選定に苦労しそうですが。

 なお、先生は上の歌詞を『いい日旅立ち』にのせて教えたこともあるそうなので、どんな曲でも合わせられるかと思います。

                                                                                    

 これはちょっと雑学的ですが。

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 これは学生に教わったYouTuberで、韓国に留学しているアメリカ人の学生とのことです。同じく韓国で勉強している日本人や中国人と一緒に動画を作り、それぞれの国でローカライズされた言葉を紹介したりするのが実に面白いです。

 動画の中で日本人のエリナさんは、「フェイスブック」などのハ行音を「ɸ」で発音していましたが、僕は割と英語準拠で「f」の発音を使ってしまいますね。伝統としてはエリナさんの方が正統*2なので、日本語の姿をよく伝えた動画だと思います。

 惜しむらくは、動画の中での会話が韓国語ベースであるということですね。これがもし英語であったらば楽しみながら英語の耳を鍛えられたのに、と思います。英語を勉強するYouTube動画もいろいろありますが、僕の中で定説を見ていないので、紹介はまたの機会に。

*1:僕のブログで「方言」といった場合には「限定された地域での言語体系」を指します。反対に個々の単語、例えば「おおきに」とか「したっけ」のようなものは「俚言」と呼ぶことにしています。

*2:もともと日本語のハ行音は、今でいうパ行音だったことが知られています。時代が下るとともにファ行音(ファ・フィ・フ・フェ・フォ)に変化し、今に至っているということです。