日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

「ボルテスⅤ」に関する覚書

 研修ではいくつもの驚くべき発見がありましたが、その中のひとつがフィリピンにおける「ボルテスⅤ」の人気です。

超電磁マシーン ボルテスV VOL.1 [DVD]

(画像はAmazonより)

 正式には「超電磁マシーン ボルテスⅤ(ファイブ)」というらしいですが、日本で放送されていたのは70年代後半のこと。いまから40年近く前の作品にもかかわらず、フィリピンでは根強い人気があって、未だ主題歌を歌える人もけっこういるそうです。

 僕はあんまり特撮に明るくないですが、それにしたって「ボルテスⅤ」は現代においてそこまで名の知れた作品ではないと思います。わからないことが多いのですが、自分の備忘録もかねて、ネットの情報をここにかき集めておきたいと思います。

(従って本記事において生産的な意見はみじんもありませんし、未見なので誤った記載もあるかもしれないことをご了承ください)

 

 

 ①作品について

 あらすじやなんかはwikipediaに事細かに書かれています。僕なりに解釈しますと、ロボットものでありながら「貴族による寡占政治」に抗おうとしたり、敵役が「(高貴なる自国の)文明を宇宙に広げる」建前で宇宙侵略したりと、かなり社会的なメッセージ性の強い作品かと思います。

 他の作品との絡みでは、話自体はつながっていないものの「超電磁ロボ コン・バトラーⅤ(こっちはブイ)」の後継に位置するような作品だったようです。ただし現代の知名度に現れているように、商業的にはだいぶ開きがあったみたいです。

参照:超電磁マシーン ボルテスV - Wikipedia

 

②フィリピンでのブーム

 他でもなく(つまり日本でも有名な「コン・バトラー」ではなく)「ボルテスⅤ」が流行った理由がよくわかっていませんでしたが、ちょっと調べた感じだと先述した「社会的なメッセージ性」が人々の共感を呼んだようですね。この意見は岡田斗司夫オタク学入門*1内「オタクの世界性」の初めの方にかかれています。

 フィリピンでの放送も日本とほぼ同時期だったようですが、そのころの「おとな」は戦争を知っている世代ですから、そうした意味での反発(そもそも日本製アニメであること、軍人精神、武器としての刀、などに対して)は大きかったらしいです。

 そうした反発を受けてか民主運動を抑制する発想からか、当時のマルコス大統領は「ボルテスⅤ」の放送を禁止したとのこと。マルコスは独裁的な政治(つまり作中で悪と見なされているようなかたち)を執り行ったとの記載が見られますが、僕はそのあたりについてまだよく知りません。そのあたりのことはNHKで特集され、そのまとめが以下のページに記載されています。

「ボルテスV」フィリピン事件

 で、マルコスが退陣して放送できるようになり、さらに下って90年代に再放送をしたのがきっかけでブームが再燃したとか。

 繰り返しますけど、これはネットに転がっている情報をまとめあげただけなので参考程度にご覧ください。

 

③主題歌

 主題歌は、やはりアニメーションを象徴するものですし、殊当時の作品に関しては世界観を如実に表現した曲が多いです。「ボルテスⅤ」の主題歌は、OP・EDともにだいぶ歌われているみたいで、英語訳・タガログ語訳まで存在するみたいです。

 Youtubeにもいくつか音源がありましたので載せてみます。

www.youtube.com これが日本語版op。日本語で歌われているか(放送されているか)どうかは知りませんが、字幕がひらがななので学習者に見せても歌いやすいかもしれませんね。フィリピン人は歌と踊りが大好き、というのはどうやら本当なので、こういう情報をいっぱい持っておきたいものです。

 

www.youtube.com 日本語版edです。なんだかopと打って変わって動きが減っていますが、やはりひらがな字幕なので読みやすそうです。聞き覚えがあると思ったら、水木一郎のアニキが歌っているのですね。存外いい曲です。

 Youtubeで「Voltes v」と検索すると、英語を初めとしてタガログ語インドネシア語バージョンなんてのもでてくるから驚きです。

 

www.youtube.comこれがタガログ語版。何言ってるかまるでわかりませんけど、きちんとFullバージョンです。

 

 というわけで、そんな「ボルテスⅤ」を渡航までに見ておきたいなぁと思っている今日この頃であります。2015年にDVDが発売されたばかりらしいので、どこかでレンタルできるかもしれませんね。

 残念ながらフィリピンでの滞在先にはTVがないようなのですが、「ボルテスⅤ」が放送されているのであれば自分で設置することも検討したいです。

 

超電磁マシーン ボルテスV VOL.1 [DVD]

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6月17日追記:

 「ボルテスⅤ」のテーマが、日本語版そのままフィリピン陸軍の軍歌になっているという噂を聞きました。ネット上ではまことしやかに唱えられている話みたいですが、ちょっと確かなソースがないので何とも言えませんね。現地で確認してみたいと思います。

 ただ、現地での熱狂ぶりを示す動画がありましたので、のっけておきます。

www.youtube.com

*1:この本に関して、信憑性がどうとか盗作がどうとかという話もでているみたいです。詳しいことは知りませんが、読者の側から一つの意見としてみれば、ひとまずは問題ないでしょう。