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日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間派遣予定。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

研修17日目:自分の授業の姿

派遣前研修の話

 「実践」の比重が大きくなるのを痛感する1日でした。

 単にものを知ったり覚えたりするだけではなくなりますので、自分の性質がいかなるものかを突きつけられる時間が長くなったわけです。ここで直すべきところが見つかってしまうと、ある種自分を否定するかのような錯覚に陥りますが、方向をうまく矯正してやるという風に思えば自己嫌悪に沈むことも避けられるのではないでしょうか。こう言っているのは、ひとえに僕が沈みがちな人間であるためです。

 

①英語

 今日のシチュエーションはパーティ。誕生日とかクリスマスとか、パーティを開く際に準備すべきことを考えました。どうですかね。「鍋パ」「タコパ」みたいなのはさておくとして、日本のの高校生大学生ってパーティを催すのでしょうか。映画「BTTF」では、ヒルバレー高校の生徒たちが「魅惑の深海パーティ」なるちょっぴりオトナなダンスパーティを開催していますが、フィリピンもそういうものは盛んなようです。とくに高校生はまだそれほど"serious"ではないので、無邪気に楽しめるという意味では、人生のうち最も明るい時期とみなされがちだとか。

 その後で少し、日本の年中行事について説明してみよう、のコーナーがありました。もちろん事前になにか言われているわけでもなく、写真を渡されて「ハイやってみて」という感じでした。僕の写真は「こいのぼり」。窓から外に出したりして飾ること、両親と子供を表すから最低でも3匹は居ること、家の中に兜も飾ること、男子の健康を祈るものであること、を英語で頑張って言いましたが、それでも不十分ですね。パッと思いつくだけでも「なぜ他でもなくコイなのか」「何歳まで祝うものか」というあたりが抜けていますし、そもそも日本語ですらうまく説明できそうにありません。

 他の方が挑戦したのは「七夕」「ひなまつり」「お盆」でした。どれもけっこう知らないことだらけですが、日本の行事を語る上では欠かせないものばかりです。

 こういうのを英語で紹介しようと思うときに参考になるのが『講談社バイリンガル・ブックス』シリーズです。

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日本史とか日本文化とか経済とか、けっこう色々な種類が出ています。特徴として見開きに英語と日本語が対訳となっているので、まず日本語を流し読みして、内容を理解してから英語の言い回しを学ぶことができます。残念なことに一部を除いて絶版のようですが、大きな図書館ならまずおいてありますし、ブックオフに行けばけっこう転がっています*1。改訂版とかありますけど、まあ旧版でも問題ないでしょう。

 明日は「お盆」を説明することになりました。こまったなぁ、勉強しなくては。

 

②TT体験Ⅲ

 早くもデモティーチングとしては最後のコマです。今日はともかく、全員が1回ずつやってみることを主眼としました。

 昨日はあまり準備をする時間も取れず、また現地で無茶ぶりされることを考慮して土壇場の訓練もしてみようという発想から、ほぼ丸腰で挑むことになりました。テーマは食事についてということで、僕のある日の3食分の画像を見せ、現代の日本人の食はあまりtraditionalな形を保っていないことを示し、その上で「朝ごはんに何を食べましたか」のような例文を組み込もうと画策はしていました。

 結果として出来が良かったか悪かったかはおくとして(二極でいえば悪いに決まっています)、クラスを活気づけることができなかったというのは大きな弱点だなと感じました。今回はまだ、生徒役が知った顔のメンバーですから、気を遣い合ってそれなりにうまく事が運びましたが、現地でやったとしたらたぶん白けきっていたでしょう。それだけ僕にはうまいアイディアが枯渇していました。むりやり褒める点をひねり出すとすれば、助詞の示し方やジェスチュアに工夫があると言えなくもないですが、そんなところは表面的な技術であって、たとい不足していても些末な問題です。クラスの反応をよくして、活発なやり取りを生むことこそ根本的に重要なことで、パートナーズの本分ではないかと思うのです。

 ふと、教育実習の5日目に初めて授業を持った時のことを思い出しました。そのクラスは他と比べると大人しめで、やはり突然現れた実習生に対しては緊張しているというか、反応がよくありませんでした。授業中も自分が空回りしていることが目に見えてわかり、どうにかしなければと思えば思うほど「スベって」しまうのでした。そんな中で、ある瞬間を境にクラスの反応がずっと良くなったのですが、それは「グループワーク」の後でした。グループにすれば当然その中で自由に会話が交わされますが、そこに僕が介在していなくても、場が温まったという実績がかなり大きい効果を生んだようです。グループを解体してからも、比較的良い雰囲気で授業をすることができました。

 今日デモをやった中で、本題に入る前にちょっとした歌を歌わせる方がいました。曜日の順番を確認する歌で、メロディも非常に単調なのですが、やっぱり声を出させて場を盛り上げることが授業の助けになるのではないでしょうか。別に歌でなくとも、クイズをやってもいいし、ゲームをしてもいいし、5分くらいでなにかやってから授業を入るとよいのかもしれません。そういう「明るくする」ネタもいくつか仕込んでおきたいものです。

 今日は頑張って英語を中心に授業をやってみましたが、頭の中がまとまっていないのに英語が出てくるわけもなく、勉強不足の露呈した練習でした。

 

 終わって少し時間があったので、フィリピン派遣メンバーで「ようかい体操第一」と「恋するフォーチュンクッキー」とを踊りました。どちらもそんなに複雑な振り付けではありません*2が、ひさびさに体を動かすということを聞かないものですね。疲弊しながらも、楽しかったです。

 

 またちょっと別の話ですが、今日の授業で「石井式漢字教育」というのを教えていただきました。これは幼児教育における手法で、漢字を見せながら(示しながら)童話の読み聞かせを行うというもの。簡単にいうと、漢字は視覚的にとらえやすく、1文字から得られる情報も多いので、ちょうど絵を見るように覚えることができるという理屈です。この方法を使えば、幼児であってもかなりむずかしい漢字を読むことができるようになるそうです。もちろん、これで覚えても書くことはまだできないわけですが、曰くこれの利点は自分で本が読めるようになるところにあります。ところどころ意味が分からなくても、自分から本を読んで世界を広げることの楽しみを覚えれば、あらゆる学習は必然的についてくるのでしょう。

 これは極めて柔軟性に富む幼児の話であって、高校生とか成人にはこれほどの学習効果は期待できないでしょうが、絵カード(フラッシュカード)の示し方という点では大いに参考になるのではないかと思います。

 いい動画が見当たらなかったので、参考までに石井式の公式ページを載せておきます。

www.isiisiki.co.jp

*1:僕は10冊ちょい持っていますが、全部古本として100-300円くらいで買ったものです。辛抱強くみていればヒントは拾えるものですね。

*2:僕は割に振り付けを覚えるのが早いほうだという自負があります。むかーしクラシックバレエをやっていたこともありますが、それでリズム感と合わせて磨かれたのかもしれません。けれども何がどういけないのかわかりませんが、ダンス的に言うと「シルエット」がかっこよくないのです。鏡を見ていろいろ研究するしかないのですかね。