日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

研修11日目:小ネタと情報の収集

 もうすでに書いたかもしれませんが、僕は本来ひとの名前を覚えるのが非常に苦手なのです。もっというと顔も覚えられないので、初めに一度自己紹介をしたくらいでは凡そ意味がなく、あとからじんわりと長期記憶に染みていく感じでどうにかやってきました。

 研修でもその性質がいかんなく発揮されることを恐れた僕は、きちんと「復習」をすることにしました。初日だか2日目だかに配られたメンバー全員の顔写真を、その日が終わるときに確認するのです。そうすると「ああ、今日ペアワークやったのは〇〇さんという方か」「□□さんはおもしろい経歴の人だなぁ」というふうに、ちまちまと知っている人の幅を広げることができます。結果、現段階で全メンバーのうち9割くらいの顔と名前が一致しました。で、周りに聞いたところ、案外みなさん他の国に行く人については詳しくないようで、ちょっと頑張りすぎてしまったかもしれません*1

 

①日本語SOS

 これは、基金の先生がいろいろな小ネタ(?)を紹介してくださるコマでした。「小ネタ」なんていうと「ウケる会話術!」みたいな胡散臭い気がしますけど、もっと的確な言い方をすれば授業における工夫であります。つまらない外国語の授業を面白くする工夫は、目から鱗的なちょっとしたアイデアでもたらされるものなのです。

 特に印象深かったのは、「垂直かるた」と呼ばれる方式です。かるたというと普通は机の上で行われますが、それだと当事者しか見えないわけですから、クラス全体に学びが共有しづらいという難点があります。そこで、「札」にあたるものを壁面に投影し、ハエ叩きを使って叩かせるという形を取り入れます。そうすると、必然的にゲームはみんなの前でおおっぴらに成されることになり、どこをどう間違えたのか=どこに注意すべきかが明確に示されますし、なにより授業が盛り上がります。ためしにとパートナーズが何ゲームかやってみましたが、みんないい大人なのにワイワイ盛り上がりましたかた、現地の生徒にやらせたらすごい騒ぎになるのでしょう。

 こういうところでも豊かな発想は身を助けるのですね。一番僕に必要な技能かもしれません。

 

②インターネットの活用

 「活用」というくらいだから、てっきりPPTとかFBとかの運用についてお話しくださるのかと思いきや、さにあらず。日本語を教えるうえで参考になるサイトをご提示いただきました。

 授業で使う資料集もあれば、自習用のサイト、また文化紹介の助けになるサイトなど、こんなに充実しているとはも知りませんでした。特に面白かったものをいくつか載せておきます。

play.google.com

これはサイトじゃなくてアプリですが、ひらがなの形の覚え方を紹介するものです。英語話者向けのappで、なかなかユニークで覚えやすい例が示されてよいです。アプリとしても、一覧とかテストとか使いやすく仕上がっていると思います。なぜか僕のスマホは対応していなくてがっかりですが。

www.erin.ne.jpこっちは、実は以前から知っていたのですがが、知らない機能が満載で驚きました。比較的簡単な会話文から始まり、より自然な日本語へとレベルが上がっていくのもよいですが、映像に字幕(漢字・ひらがな・ローマ字・英訳)が設定できたり、映像と全く同じ会話文を使った「漫画」もダウンロードできるのには、ほぼ感動したといってもいいかもしれません。必ずしもネット環境のない教室において、ハンドアウトとして漫画を配り、自然な会話文を読むことができるのは学習の助けになること間違いなしです。担当者の方曰く、映像で演じている女優さんがかわいいのも魅力のひとつだとか。

anime-manga.jpこれも非常にユニークです。漫画やアニメから日本語学習を始めるひとは多いですが、それらのメディアで使われている特殊な日本語について、網羅的に学ぶことのできる資料は少ないと思います。金水敏のいう「役割語」が筆頭ですが、まず教科書には登場しない表現である一方、学習者のもっとも知りたい情報でもありうるわけです。このサイトでは、そうした人物設定による言葉遣いの違いが、音声付きで示されているのでわかりやすく楽しいです。これをベースにして、実際のアニメを教材にすることもできるように思いました。

 まだまだたくさんありますが、折を見てご紹介していけたらと思います。

 (このブログは誰向けにかかれているのでしょう。自分でもわかりません)

 

 終わってから、メンバー数名とボウリングへ行きました。僕はスポーツ全般が苦手ですから、ボウリングに関してもスコアが100行けば万々歳です。親睦はすでに深まっている(と僕は勝手に思っている)のですが、とても楽しかったです。明日の筋肉痛も意に介さず、はしゃぎ倒しました。チーム戦なんかもやったりして、実力がうまいこと拮抗していたのも気が楽でよかったです。

*1:苦手だから頑張って、結果として頑張りすぎたほどだったというのは割にあることです。教育実習でも生徒の顔を覚えようと必死になり、1クラスを覚えるのに3日使いましたが、けっこう速いほうだったようです。まあ、その過程において必死になれるという意味ではよい傾向かもしれません