日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

研修8日目:月曜と倦怠

 仕事をしたことのない僕は、この月曜日の気怠さをも知りませんでした。研修でここまで社会の恐ろしさを思い知ることになるとは、予想だにしていませんでした。

 ところでこのセンターの朝食はバイキング形式で、600円で食べ放題ということになるのですが、ここ3日4日ほどは気力の不足で行けていません。毎日1時前には寝、7時には起床するという、却って不健康なのではないかと思うほど健康な生活を送ってはいますが、どうしても部屋を出て食事をしようという気になれずにいるのです。予習が終わらないとか、実はパンを買ってあるとか理由はいくつかあるのですけどね。

 うーん、そろそろ毎日記事を書くのがしんどくなってきました。いずれ途切れ途切れになるかもわかりません。

 

 

①英語

 今日は先日のエッセイが返却されました。書き忘れたかもしれませんが、うちのクラスでは日々の予習に加えて英語で日記をつけるように言われていて、それも土曜日に提出してありました。先生はわざわざ赤を入れて、ちょっとしたコメントまで添えて返却してくださいました。

 そうですね、できるだけ控えめに言及するつもりですが、お褒めの言葉をいただくことができました。エッセイ、日記ともにミスはぽつぽつ散見されますが、僕は元来語彙が豊富ではありませんので、簡単な言い回ししか使えないのが幸いしているようです。ある程度の語彙量を獲得することが語学習得には不可欠とはわかっているのですが、単語帳を見てちまちま覚えるというのが高校のころからずっと嫌いでした。 単語帳なんかを見ると、"anthropology"みたいな日本語で見ても意味の解らない単語*1が わんさか並んでいて、それを愚直に覚える同級生たちを軽蔑してもいました。結果よかったのかどうかはわかりませんが、簡単な語彙だけを使ってどうにか会話を することができているのだから、悪くはないかと思います。ともあれ、文意が伝わらないほどの致命的なミスはなく、平易でわかりやすいといっていただけましたので、この調子で頑張ろうと思います。

 今日のシチュエーションはファストフードでの注文。旅行者でもよく遭遇する場面です。こういうよく行くところであっても、店員がどういうフレーズを口に出し得るかを頭に入れておかないと、何を言っているのかわからなくなることがあるのではないかと思います*2。今日のロールプレイはペアを組んで店員と客とを交代で演じたので、店の人のセリフと客のセリフとを効率よく学ぶことができました。

 明日は(明日から?)先生がスイッチするみたいです。いろいろな先生の英語を聞いて、どんなアクセントで話されても大丈夫な耳を作る、というのは非常に大切なことです。

 

②教育事情

 フィリピンの事情について、滞在4年目を迎えられるスタッフの方がご説明くださいました。前回までと違って、今回は特に教育にフォーカスした内容となりました。

 いろいろ細かい点も勉強になりましたが、フィリピンに外国語大学がない理由というのは新たな視点でした。すなわち、フィリピンでは英語が公用語として見做され、国民のほぼ全員が(流暢とは限りませんが)ある程度を話すことができます。で、やはり英語というのは間違いなく一番広く使われている言語ですから、それが話せるということは「外国語」をことさら強調して学ぶ必要(あるいは意欲)がないということにつながるのです。確かに、現地語のタガログ語に加えて、英語がデフォルトで話せるというのはうらやましい限りですし、それだけできれば世界のどこへ出ても仕事ができるというものですよね。

 

感染症予防

 予防接種を打ったのがもう先週のことですね。もうさすがに腕の痛みは引きましたが、数々の感染症に対する不安はぬぐい難いものがあります。まあ不安は持ち続けたほうが予防の意識が保たれようと思いますが、今日のお医者さんの話にはだいぶ脅かされた感じがいたしました。

 露店で売っている食べもの(特にカットフルーツ)は手を出さないとか、氷には気を付けるとか、基本的な事項ではありますが、こう具体的にいろいろ示されるとやっぱり怖いです。しかしながら、下痢についてはもう罹るものとして行ったほうがいいみたいですね。3年前の滞在でも、常におなかの調子は悪かったと思います。

 それから身近な問題として蚊があります。『空飛ぶ寄生虫』なんかを読むと、蚊がいかにしぶとく種々の病気を媒介するかがわかりますが、このお話でそれを防ぐためのグッズが示されたのは助かりました。専門的なことはともかく、虫よけスプレーで重視すべきはDEETという成分だそうです。日本だとムヒの12%という濃度が最高で、これだとせいぜい3時間くらいまでしか効果が持続しないらしいですが、海外では20%を超えるもの(80%なんていう劇薬まがいのもある)も購えるとのことです。反対に、シトロネラというのは曰く効果が薄いそうです。ほかにも白い服を着るとか、酒を飲まない(蚊は温かいほうに寄ってくる)とか、意地でも刺されまいとする気概が必要となります。

 あとはばい菌系で、狂犬病予防のためには噛まれてから直ちに「暴露後ワクチン」を打つとか、破傷風予防のためには素足にならないとか、その他性行為感染症の話もありました。いま話題のジカ熱なんかも性行為によって蔓延し得る*3そうですから、実に根の深い問題だと思います。

 こんな話を聞いていると、いかにも八方塞がりな感がしますが、別にフィリピンが草一本生えない地獄というわけではありませんから、予防線を張ったうえでちゃんと楽しむことができたらと思います。

*1:とかいいながら、実は一度だけこの単語を使ったことが あるから、人生はほんとうにわからない。ちなみに意味は「人類学」、生物および文化の観点から人類がいかにして発達してきたかを研究する学問です。

*2:"For here or to go?"とか"Anything else?"みたいな表現のことですけど、人によっては言い回しにバラエティがあるので柔軟な態度が求められますね。「想定していないと聞き取れない」例としては、昔カナダのタコベルで注文した時に「お名前は?」というのが理解できませんでした。商品を出すときの確認なのでしょうが、聞かれると思ってなかったので戸惑った思い出があります。

*3:今日聞いて非常に納得したのは、血液中とか尿中に含まれるウイルスはたいてい数週間ですべて流れてしまうのですが、反対に精子中のものは残りやすいらしいということ。だから本人の体調がよくなった後で感染者を増やすという、ややこしい問題が発生するのですね。