日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

研修6日目:裸のつきあい

 週末!

 社会人を経験したことのない僕は、この言葉の魅力について今まで気づいていませんでした。解放と休息、なんと心惹かれる現象なのでしょう。

 なんてことも実は言っていられなくて、午前中の語学の授業だけは土曜日でも実施されるのです。更に苦しい(?)ことには、毎週土曜日はミニテストを受けなくてはなりません。勉強しているのは英語ですからそんなにむつかしい表現こそないけれど、やっぱりテストとなると緊張しますね。

 それだけではさすがに午前いっぱいもちませんから、余った時間で簡単なタガログ語の授業もやってくださいます。これは非常に楽しみにしていた内容で、前回の滞在から「宿題」として持って帰ってきた事項でもあります。

 それが終われば晴れてFree time、どこへなりとも飛んでゆけるわけです。

 

 

①英語

 実は語学のクラスには日直(day duty)の制度が設けられています。パートナーズとして派遣されたときには、アシスタントとして現地の先生との関係を密にして、相談をしていかなければならないわけで、その練習と個人レッスンを兼ての計らいです。今日は僕が日直となって、予めどんなテストをやるか聞き、クラスに伝える役割を担いました。

 テスト自体は、(やっぱりと言うべきかも)そんなに覚えるとか文法とかを重視したものではなく、単純にエッセイライティングでした。今週1週間を通じて学んだことを短い文章で説明するという形で、制限時間は20分とられました。あんまり英文を書く訓練をしてこなかったのであまり自信はないですし、時間がもったいない形で余ってしまいましたが、まあ思っていることは書けたかなぁという感じです。

 

タガログ語

 いちおう、前に行った時には本当に基本的な挨拶は覚えていましたが、それは「生きたことば」ではなかったのだというのが今日の発見のひとつです。朝会ったら"Magandang umaga"、昼は"Magandang hapon"、夜は"Magandang gabi"、ものをもらったら"Salamat po"、感謝されたら"Walang anuman"……。この程度ならどうにか知っていましたし、持参したタガログ語の教科書を見れば初めに書いてある内容です。しかし、やっぱりロールプレイとか反復して発音したりとか、そうした練習をするのとしないのとでは頭に残る度合が全く違います。

 ただ挨拶をして、名前を聞いて名前を答えて、ありがとう、というだけのやり取りでも、ちゃんと会話の相手を用意するということが語学習得では非常に有効なのだと痛感しました。もっと言うと、こうして未知の言語を学ぶ学習者の気持ちを理解することも、日本語を教えるうえでは必要な視点なのです*1

 

③大阪観光

 銭湯へ行く約束は夕方でしたので、ちょっと空いた午後を利用して大阪城へ行きました*2。どうにかこうにか路線を乗り継いで大阪城公園という駅につくと、盛大なお祭りが催されていました。よく見ればそれはThai Festival。種々のタイ料理のお店が、広い公園にずらり並んでいるのでした。

f:id:chihariro:20160522174133j:plain

 あまり時間もなかったのでまっすぐ天守*3へ。

f:id:chihariro:20160522173830j:plain

外国人を含めた観光客でにぎわってはいましたが、耐えられないほどの人込みではなく、好天に恵まれたこともあって気持ちの良い散歩となりました。

 一通り写真を撮って、せっかくなのでタイ料理も食べようということになり、いろいろおいしそうだったけど、やはり庶民派の僕はPat Thaiを頂きました。バンコクの屋台でも食べましたが、うどんみたいな麺を使った焼きそばです。素朴ですが、おいしいのです。

 

 

④銭湯での交流

 夜はウズベキスタンからの留学生を連れて、近くの駅に併設されたスーパー銭湯へ。日本人3人に対してウズベク人6人という人数比でした。聞けば彼らの国には温泉がほぼないとのこと。似たようなものでいうとサウナはあって、割と利用するそうですが、部屋で蒸されながらビールを飲んでおしゃべりするらしいです。

 で、入場してさっそく問題が発生。タオル代ももったいないと思い、タオルを持ってくるように連絡をしておいたのですが、彼らが持ってきたのは大きなバスタオルだけでした。小さいタオルを浴場で利用するという感覚が、あるいはないのかもしれません。いくらなんでもバスタオルを持ち込むわけにはいかないので、大人しくレンタルしました。

 かけ湯をしてから湯につかるとか、タオルは湯につけないとか、そもそものシャワーの使い方とか、やっぱり日本独特のものは端々にあるようで、その都度「こういうものなんだよ」と教えてあげました。彼らも理解があるので、多少の戸惑いはあったかもしれませんが楽しんでいたようです。

 というか、僕自身が銭湯とか温泉のたぐいにあまり行かないんですよね。だから「かけ湯」なんかも「ああ、そんなのあったなぁ」くらいにしか認識していませんでしたし、作法も何もわかったものではありませんでした。うーん、日本文化をもっと体験してから渡航したほうがよさそうな気がしますね。お湯の中で「東京の人口はどれくらい?」とか「島はいくつある?」とか、答えられないにつけても、もっと日本のことを知らなくてはいけないと思います。

 いずれにしても、みんないい笑顔になってお風呂からあがってきたので、こちらとしてもよかったと思います。

*1:そういえば、ロンドンで日本語教育を勉強した時にも、その観点からインドネシア語の授業がありました。1時間だけの短いものでしたが、大きな刺激になったことを覚えています。

*2:当初は難波の古本屋でも廻ろうかと思ったのですが、別のメンバーにお誘いいただいて、コバンザメよろしくくっついていくこととしました。よく考えればなにもはるばる大阪まで来て、古本に煤けることもないですよね。

*3:標識によると英語表記は"Main Tower"、印象がだいぶ違います。