日本語パートナーズ記@マニラ

日本語パートナーズ フィリピン3期として9カ月間の活動を経験。大学では国語学を専門にやっていましたが、キャリア的には背水の陣。

このブログについて(改訂版)

日本語パートナーズの内定をいただき、2016年7月から2017年3月までフィリピンに行ってまいりました。 このブログでは、フィリピンでの生活や日本語教育の実態、その他滞在中に僕ことchihariroが考えたことを発信してきました。 出発までの記事としては、僕が…

後進を求めて

先日少し書きましたが、某大学*1でフィリピン語を勉強している学生に向けて、日本語パートナーズの体験を語る機会をいただきました。人前で話すというのは、考えてみると実に半年ぶりくらいのことですから、ド緊張というか何をどうしてよいやらという感じで…

所縁なき書状

ブログを放っておき過ぎたのが災いして、鬱陶しい広告が出始めたので、間に合わせの更新をしておきます。未だに記事をアップロードできていない3月後半のアレコレについては、裏で下書きを積み重ねているのでもう少しお待ちください。ここまでいい加減なブロ…

郷愁、あるいは最後の仕事

ここ数ヶ月、いろいろ身辺の整理がつかずにFacebookを一切確認しない日々が続いているのですが、4期の方の活躍はすでに始まっているようです。UPに派遣された方については、すでに僕の半年分くらいの意義を持った活動をなさっているようにお見受けしていて、…

思い出す事など④

僕は未だこれといった肩書がございませんで、まして日本語教師では決してないのですが、振り返ってみると日本語学習者とはかなりかかわってきたように思います。 この場合、生業ではないので正確な表現じゃないことは百も調子ですけれど、それなりの経験をし…

てさぐりタガログ語の記憶

外国語を習得する目的やモチベーションは人によってあり方がさまざまでしょう*1。仕事のためにイヤイヤ勉強する人もありましょうし、学習の過程そのものが楽しくて仕方ないという方は極めて幸せなことと思います。 僕の場合は、もちろん海外に行きたいとか外…

ある不吉な塊

日本に帰ってきてから、僕は重い腰を上げて就職活動を開始しました。学生時代には大学院進学しか考えておらず、またそもそも教員志望で大学に入ったわけですから、エントリーシートを書いて数回にわたる面接を受けて……という類いの、「就活然とした就活」は…

思い出す事など③

カガヤンデオロ(CDO)へ行った時のことです。 記事としては滞在199日目:カガヤンひとり旅①あたりからご参照いただけるとありがたいですが、パートナーの仕事としてというよりは、どちらかというとバカンスめあての遠征でした。まあ結果としてはCDOの2校で授…

思い出す事など②

大晦日から元旦に向けて、僕と数名のパートナーズは、マニラ首都圏の高校で日本語を教えている先生のお宅にお邪魔し、フィリピンの年越しを体験させていただきました。 その先生は大変気さくで且つ恐ろしくテンションの高いおばさまで、普段から仲良くさせて…

思い出す事など①

さすがに9ヶ月も滞在していると語るべきエピソードは無尽蔵にあるわけですが、何か話してくれと言われるとパッと出てこず、答えに窮することが多いです。とはいっても、日常ふとしたときに思い出すそうしたひと時を、ほかの下らない思い付きと同じように無碍…

PCあれこれ

全然関係ない話ではありますが、個人的にPCを新調しました。といってもこれまでに使っていたラップトップ*1を使わなくなったというわけではなく、自宅にデスクトップを設置したというだけの話でして、ちょっと動きの速いモデルを安く購入しましたので、これ…

ある投書から ~一青年の一意見~

これは僕の持論なので躊躇なく明言しますが、「障害」という表記には何ら問題を感じません。 といいますのも、先ごろ新聞の投書欄にこんな読者の意見が掲載されていました。 個人を攻撃したいわけではないのでお名前は伏せますが、考えがあまりに甘いと思い…

佐々木瑞枝『何がちがう? どうちがう? 似ている日本語』

さて、僕はすでに「日本語パートナー」のバッジを外していますので、このまま本ブログを廃墟にしてしまおうかとも思ったのですが、メンテナンスを怠れば容易に寂れてしまうことは目に見えていますし、それではちょっとこの記録の趣旨、すなわち「日本語パー…

4期生、始動

ご無沙汰いたしております。 帰国からあっという間に日々が過ぎた、かと思いきやさにあらず。僕としては「まだ2ヶ月か」というような感覚なのです。この2ヶ月は特別大きい活動もせず(できず?)、代わり映えのしない初版本蒐集に精を出す毎日となっていまし…

滞在266日目(最終日):白い光の中に

ご無沙汰いたしております。 1ヶ月も更新が滞っているのには、もちろん個人的な気質としての怠惰も関係しているのですが、怒涛のように押し寄せるイベント群に、なすすべなく困憊を余儀なくされてしまったためでもあります。 で、この日付の記事を無事投稿し…

滞在247日目:そもそも漢字とは何か

お察しの通り、これ以降の記事は、「滞在266日目(最終日):白い光の中に」を除いて全部帰国後にものした日誌となります。従って内容は記憶によるところも多いわけですが、反面、快適な参照資料に恵まれていますので、新たな知見を挟み込みやすいという意味…

滞在240日目:明かりをつけましょ

毎週の文化紹介というのはもちろん経験としてありがたいことで、場数を踏まないことには気づきえないあれこれを学ぶことができています。幸か不幸か、求められるのはたいてい季節行事とか時候にあったものですので、よく言えば悩まずに済み、悪く言えば自分…

滞在237日目:断髪式

恥ずかしい話*1、フィリピンに到着してからの8ヶ月間、僕は一切の散髪をしてきませんでした。これは別に「フィリピンの床屋なんぞ信じられるか!」という偏見があるわけでもなくて、たとい日本にいようとも年に1回か、よくて2-3回しか散髪をしないのです。い…

滞在235日目:ニッポンへ行きたいか!

他の国でどうなのかわかりませんが、フィリピンでは毎年「日本語フィエスタ」なるイベントが催されます。その中で恐らく一番盛り上がるのは「クイズビー」という、日本語に興味を持つ高校生がその知識を競うもので、今日マニラで開催されたのは、各地の予選…

滞在234日目:中級の日本語

文化紹介が終わって早々、授業の準備をしなくてはなりません。「なりません」なんていうとイヤイヤ仕事をしているようですが、さにあらず。2-3週間前に、中級クラスの先生に「授業をやってみない?」と打診され、これもよい経験と二つ返事で受け入れてしまっ…

滞在231日目:節分大会②「露とこたへて」

恵方巻の後の豆まきセッションですが、正直こっちはそんなにやることがなく、どちらかというと1時間半もたせるようなプランに苦戦した印象です。そもそも教室で豆を撒くわけにいきませんので、会場の問題もけっこう大きかったと言えます。

滞在231日目:節分大会①「北北西に寿司を向けよ」

UPの言語学科では、僕のために大きな文化紹介の枠をご用意いただいています。これまでにやったところで言いますと、「かるた」「書道」がそれに当たります。本当は月イチくらいで実施したいところですが、どうにも暦や予定の関係でこの程度しかできず残念で…

滞在225日目:オカマ歌劇を見る

もちろん仕事といいますか、メインとなる業務を最優先しなければならないということはわかっていますが、それにしても楽しい誘いを断るのは憚られます。ただでさえ残り短い滞在なのですから、やることがあるから、などというつまらない理由で活動を減らした…

滞在225日目:日本語はやさしいですか?

さて、忙しい月末なわけですが、その分日々の充足も多く感じられますね。貯まった記事も細々と書きつないでいく所存です。 この日はDemo Teaching、すなわち1つの授業を持たせていただけることになりました。もちろんそうそう頂ける機会でもありませんから、…

滞在224日目:「何チョコですか?」

世間はバレンタインデーです。僕としてはこれといって思い入れのある日ではなく、かといって漫画でよくあるようにねたむような気持ちも毛頭ありません。ようするに、この日については「市井の人がなにやらにぎわう日」という鳥瞰的な認識を持っているのみな…

滞在220日目:複雑な漢字の対策

パートナーズとしての滞在も8ヶ月が経過しようとしていますが、現在に至るまで継続して日本語のクラスを履修している学生というのは案外少ないです。カリキュラム上、言語学専攻以外は上の方のレベルをとれないようでして、先学期まで仲良くしていた学生に会…

滞在217日目:日本語クエスチョン⑥

今期は日本事情に関するクラスがあるとすでに書きましたが、経済とか流行を学んでいる過程でももちろん日本語の疑問は噴出し続けるわけで、その矛先はというと当然ネイティブたる僕に向けられます。明朗にこたえられればそれに越したことはありませんけれど…

滞在214日目:人前で話させること

ちょっと日記がたまりつつありますね。実を言いますと終わりに向けてだいぶ忙しくなってきていまして、おちついて文章を書いている暇がないのです。短くバシッとした記述ができればマメに更新できるのでしょうが、いくら書くのが速くてもどうにも長く書いて…

滞在210日目:挑戦的新学期③「流行語大賞候補語について」

発音記号に悩まされた後は、ちょっとしたレポートがありました。日本事情を学ぶクラスでの発表でして、お題は「流行語大賞」。前にも書いたと思いますが、ひとり2語を担当してそれについて調べてくるというものです。幸か不幸か僕にも配当がありまして、やる…

滞在210日目:挑戦的新学期②「発音記号の苦労」

ひらがなの授業が終わったあとは、続けてテストの監督をしました。テスト監督自体はこれまでも何度かやっていますし、知っている学生がほとんどのクラスでしたので緊張はありませんが、気がかりだったのはその内容でした。実のところ、このクラスは日本語の…